ご挨拶

 先住民族であるアイヌが住んでいた大地はアイヌモシリと呼ばれ、アイヌはそこで独自の民族文化を築き生活してきました。あらゆるものにカムイ の存在を認めるアイヌは、カムイと共生し、また、民族の文化を伝承することで、子どもに民族の精神や自然との共存を教えました。言葉を媒介とした語りで子どもの心を豊かに育んできた口承文芸。自然の恩恵に浴したことに心から感謝し、再来を願ってうやうやしく神の国に送り返すイオマンテ 。この深い、いのちへの愛と祈りに満ちたアイヌ民族の文化と世界観には、自然の中で生きていく人間本来の姿が見られます。

 世界の先住民族の生存や尊厳、自決に関する権利を規定した「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が、2007年に採択されました。この宣言に日本も賛成しましたが、2019年に施行された「アイヌ新法」は、アイヌの自己決定権、自治権、土地や領域、資源回復や補償などには触れておらず、国連の宣言とはかけ離れており、アイヌの暮らしと誇りを立て直す内容とはなりませんでした。私たちはアイヌ民族と日本人(和人)の歴史的関係性やアイヌ民族がおかれている現状をもっと知る必要があります。

 幕藩体制下の支配や、アイヌを日本国民にさせる近代国家の政策などの抑圧や差別に抗してきたアイヌ民族の歴史や、伝統的に継承されてきた文化を紹介する本展示の開催が、アイヌ民族の先住権・自決権を尊重し、アイヌ民族をはじめとする多民族・多文化との共生社会を実現する一助となることを願っています。

 最後に、展示の趣旨をご理解いただき、貴重な資料の出展、写真の提供をはじめ、格別のご配慮をいただいた関係諸機関ならびに関係者のみなさまに心からお礼を申し上げます。


先住民族アイヌのいまを考える会

委員長:淺川肇

協力・監修:多原良子 出原昌志

後援:奈良県・奈良県教育委員会・先住民族アイヌの声実現!実行委員会・部落解放同盟奈良県連合会・奈良人権部落解放研究所・奈良県市町村人権・同和問題啓発活動推進本部連絡協議会・奈良県人権教育推進協議会・大阪人権博物館・水平社博物館・奈良ー沖縄連帯委員会・日本朝鮮人総連合会奈良県本部・桜井市・宇陀市・三宅町・河合町